| 金田一のアイヌ語研究は、東京帝国大学在学中に上田万年の講義を受けて、アイヌ語研究を志したことに始まります。 叔父金田一勝定や上田教授の支援を受けて、明治39年には北海道のアイヌ村を、 翌年八月には樺太東岸のアイヌ集落を訪れ、 人々に伝わる「ユーカラ」を筆録するとともに樺太アイヌ語法の大要をつかみました。 「ユーカラ」とはアイヌの人々が代々口伝えに継承してきた叙事詩であるとされていますが、 金田一はこのアイヌ語と「ユーカラ」の研究を通じて日本語の成り立ちを探ろうとしました。 昭和6年1月に出版された『アイヌ叙事詩ユーカラの研究』によって、翌年5月に学士院恩賜賞が送られ、 現在のアイヌ語研究の基礎を築きました。 金田一のアイヌ語採集の方法はその随筆に紹介されているとおり、直接アイヌの人々のなかに溶け込み、 また自宅に招いて直接聞き取るというものでした。自身の研究に対する熱意もさることながら、 知里幸恵・真志保姉弟、金成マツをはじめとする、多くの協力者の理解がありました。 晩年、それまでまとめられてきた筆録ノートをもとに、『ユーカラ集』が出版されましたが、 その死によって9巻にとどまったのは惜しまれます。 |
