泣き虫なまいき石川啄木

石川啄木の評伝劇
『泣き虫なまいき石川啄木』は小説家・劇作家など多彩な活躍をしている井上ひさしさんの戯曲。 盛岡で青春時代を過ごし、東京で貧困の中わずか26歳で永眠した歌人、 石川啄木が主人公。 ときは啄木が亡くなって間もない明治45年5月2日。 残された妻節子は、啄木の最後の3年間の日記を読み始めます。
舞台はそこでフラッシュバック、 東京本郷での、妻節子、長女京子、母カツ、妹光子との共同生活。 借金だらけで質屋通い、 ただでさえ苦しい生活なのに、そこに父の一禎(いってい)まで転がりこんできます。 嫁姑のいざこざ。 啄木にいつも振り回されながらも、さりげなく助ける、まじめで穏健で論理的な、 心優しい金田一京助。 大酒飲みでわがままな子どものような一禎。 いつもクールな光子。 ちなみに舞台に登場する日記は15冊。 実はこれ、現存する日記より2冊多いのです。 泣き虫で生意気で夢想家、でもなぜか憎めない啄木をめぐる人間模様が “笑いの魔術師”“現代の戯作者” といわれる井上さんらしいタッチで虚実入り混じって繰り広げられ、笑いと涙をさそいます。

『泣き虫なまいき石川啄木』 井上ひさし(1986年6月・新潮社刊・1992年6月新潮文庫化・現在ともに絶版)


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